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網膜色素変性症~今私たち鍼灸師に出来ること

網膜色素変性症(RP)に対する治療は、遺伝子治療、再生医療、人工視覚などの分野で臨床研究が成されており、医学の進歩は目覚ましいものがあります。

IPS細胞を用いた網膜再生医療は、既に臨床治験段階にあり、移植した網膜の生着が報告されています。中でも 65遺伝子疾患に対するルクナール遺伝子治療は、大きなニースとなりました。今後は、その適応が拡大される事が期待されます。

また、千葉大学眼科で行われた電気刺激治療(治験)は、大変に興味深いものがあります。目の周りに表面電流を流し、網膜を刺激することで視機能の改善、維持を目指すものです。

この治験に伴って開発された電気機器はコンパクトなので、患者自身が保有し自宅で継続的に出来るセルフケアを兼ね備えていのではないかと推察されますので、最も現実的な治療法となりうるではないかと期待を寄せています。

また、九州大学眼科の研究では、網膜色素変性症には遺伝子異常による進行フェーズの他、神経炎症が病気の進行に関与している可能性が示されました。

神経の慢性炎症は脳細胞で起こることで様々な進行性の神経難病を引き起こすことが判っていますが、実際は網膜も構造的に脳の一部ですから、網膜に生じる慢性の神経炎症抑制についても治療法が確立されることに期待が寄せられます。

一方で、希望ある将来を見据えつつも、今、何が出来るか?という課題があります。一般の眼科医療機関では、依然として網膜色素変性症に対しては確立された治療はなく、経過を診ていくというのが現状です。

もう一度、鍼灸の効果に着目して欲しい。と私達は考えています。

以前は、網膜色素変性症の方が、鍼灸師となる例が少なくなかったので、網膜色素変性症の方にとって鍼灸治療は身近なものであった気もします。

しかし、現在は、生き方や職業選択の幅も広がり、鍼灸とは全く別の分野で活躍されている方も少なくありません。そうなると、鍼灸自体の存在感が薄れ、また一部の怪しい治療家などの齟齬もあり、患者さんが鍼灸から離れてしまった感じが見受けられます。又、昨今の情報過多の状態もあり、どのようなところで鍼灸を受ければ良いか戸惑て散る方が少なくないのではと思います。もちろん、自費の鍼灸においては、費用的な面、経済的な負担面も大きいかもしれません。

そこで、私たちは、網膜色素変性症鍼灸専門外来を開設し、医学的根拠に基づいた標準治療を行っています。

つづく